高齢の親が一人暮らしをしていると、「知らない番号からの電話にも出てしまう」「詐欺電話と普通の電話を見分けられるだろうか」「警察や役所を名乗られたら信じてしまわないか」と心配になることがあります。
特殊詐欺対策で特に重要なのは、電話の内容をうまく見抜くことだけではありません。
そもそも犯人からの電話に出ない環境をつくることが大切です。
固定電話なら、留守番電話、番号表示、非通知拒否、防犯機能付き電話、国際電話の利用休止など、いくつもの対策を組み合わせることができます。
この記事では、2026年8月時点の警察庁などの公的情報をもとに、高齢者の固定電話でできる迷惑電話・特殊詐欺対策を、離れて暮らす家族にも分かりやすく解説します。
不審な電話を受けたときの相談先
- 詐欺かもしれないと感じたとき:警察相談専用電話 #9110
- 契約や悪質商法についての相談:消費者ホットライン 188
- 現在進行中の犯罪や身の危険がある場合:110番
この記事で分かること
- 高齢者の固定電話が狙われやすい理由
- 今日からできる迷惑電話対策
- 留守番電話・番号表示・非通知拒否の使い方
- 防犯機能付き電話でできること
- 国際電話番号を使った特殊詐欺への対策
- 離れて暮らす家族ができる電話対策
高齢者の迷惑電話対策で一番大切なのは「犯人と話さない」こと
特殊詐欺の電話は、最初から「お金を振り込んでください」と言ってくるとは限りません。
親族、警察官、市役所職員、金融機関、通信会社などを名乗り、自然な会話から始めて相手を信用させる手口があります。
一度会話を始めると、
- 「あなたの口座が犯罪に使われています」
- 「医療費の還付金があります」
- 「息子さんが事故を起こしました」
- 「電話料金が未納です」
- 「今日中に手続きが必要です」
などと言われ、不安や焦りから冷静な判断が難しくなる場合があります。
そのため、特殊詐欺対策では「詐欺電話を見抜く」だけでなく、知らない相手とできるだけ話さない仕組みをつくることが重要です。
高齢者の固定電話でできる迷惑電話対策7選
1.在宅中でも留守番電話にする
最も始めやすい対策が、固定電話を常時留守番電話に設定する方法です。
電話が鳴ってもすぐに受話器を取らず、留守番電話に相手の名前や用件を話してもらいます。
家族、友人、病院など必要な相手だと確認できた場合だけ電話に出る、または後から折り返します。
家族ルール
「電話が鳴ったら出る」から、「留守番電話で相手を確認してから出る」へ変えるだけでも、知らない相手と直接話す機会を減らせます。
2.ナンバー・ディスプレイなどの番号表示を利用する
電話番号表示サービスを利用すると、電話に出る前に相手の番号を確認できます。
知らない番号なら無理に出ず、留守番電話へ任せましょう。
NTT東日本・NTT西日本では、70歳以上の契約者、または70歳以上の方と同居している契約者を対象に、ナンバー・ディスプレイとナンバー・リクエストの月額利用料・工事費を無料とする取り組みがあります。
利用には申し込みや対応機器などの条件があるため、対象になる場合は契約している電話会社の最新情報を確認してください。
3.非通知の電話を拒否する
番号を通知せずにかかってくる電話を拒否する設定も有効です。
非通知拒否サービスでは、非通知でかけてきた相手に「電話番号を通知してかけ直してください」といった音声案内を流し、電話を受けないようにできます。
番号表示サービスと組み合わせて使うと、より知らない電話を選別しやすくなります。
4.防犯機能付き電話を利用する
高齢者の特殊詐欺対策を目的とした「防犯機能付き電話」には、通常の電話機にはない防犯機能があります。
代表的なのは、
- 着信前に「この通話は録音されます」と相手へ警告する
- 通話内容を自動録音する
- 非通知の電話を拒否する
- 未登録番号からの電話に注意を促す
- 迷惑電話を自動的に判別・拒否する
などです。
犯人側に録音されることを知らせることで、電話を切らせる効果も期待できます。
自治体によっては、防犯電話機や自動通話録音機の購入・設置に対して補助制度を設けている場合があります。購入前に市区町村の公式サイトで確認してみましょう。
5.知らない番号には折り返さない
着信履歴に知らない番号が残っていても、すぐに折り返す必要はありません。
重要な用件であれば、留守番電話へメッセージが残されることがあります。
役所、警察、金融機関などを名乗るメッセージが入っていた場合も、録音された番号へそのまま折り返すのではなく、自分で公式の電話番号を調べて確認することが大切です。
6.国際電話からの着信をブロックする
近年、特殊詐欺で国際電話番号が悪用されています。
「+1」「+44」など、電話番号の先頭に「+」が付いた知らない番号から電話がかかってきた場合は注意してください。
なお「+81」は日本の国番号です。
警察庁によると、2025年中に特殊詐欺で利用された電話番号のうち、約75.5%が国際電話番号でした。
普段、海外と固定電話で通話する必要がない家庭では、国際電話番号からの発着信を休止する方法があります。
国際電話不取扱受付センターへの申し込みにより、対象となる固定電話などで国際電話の発着信を無償で休止できます。
海外との固定電話を利用しない家庭は要確認
国際電話を使う予定がなければ、最初から国際電話番号からの着信を受けない設定にしておくことで、特殊詐欺の電話と接触する機会を減らせます。
7.家族や知人の番号を電話帳へ登録する
家族、親戚、友人、病院、ケアマネジャーなど、普段電話する相手を電話機へ登録しておきましょう。
登録済みの相手と知らない番号を区別しやすくなります。
電話機によっては、登録した相手だけ着信音を鳴らしたり、未登録番号に注意を促したりできるものもあります。
「+」から始まる国際電話番号には特に注意
近年の特殊詐欺では、海外の電話番号を利用した電話が大きな問題になっています。
例えば、
- +1
- +44
- +800
- +から始まる見慣れない番号
などから突然電話がかかってくることがあります。
知らない国際電話番号には、
- 出ない
- 折り返さない
- 必要なら着信拒否する
を基本にしましょう。
「警察です」「通信会社です」と名乗られても、表示された電話番号だけで本物と判断してはいけません。
実在する警察署などの電話番号を偽装して表示させる手口も確認されています。
警察・役所・銀行を名乗る電話が来たらどうする?
公的機関や金融機関を名乗る電話だからといって、その場で信用する必要はありません。
特に次の言葉が出たら、一度電話を切りましょう。
- 「あなたは捜査対象になっています」
- 「あなたの口座が犯罪に使われています」
- 「資金を調査します」
- 「安全な口座へお金を移してください」
- 「キャッシュカードを確認します」
- 「暗証番号を教えてください」
- 「誰にも話さないでください」
警察官を名乗る相手から「捜査対象になっている」などと言われた場合は電話を切り、警察相談専用電話#9110へ相談してください。
相手が所属や電話番号を伝えてきても、その番号へ直接折り返さず、自分で警察署などの公式番号を調べて確認しましょう。
防犯電話を選ぶときに確認したい機能
固定電話を買い替える場合は、単に「高齢者向け」というだけでなく、特殊詐欺対策に役立つ機能を確認しましょう。
- 着信前の警告メッセージ
- 自動通話録音
- ナンバー・ディスプレイ対応
- 非通知着信拒否
- 未登録番号への警告
- 迷惑電話番号の拒否機能
- 大きく見やすい画面
- 大きなボタン
- 家族の番号をワンタッチ登録できる機能
機能が多すぎると親本人が使いにくいこともあります。
「高機能な電話機」よりも、親が普段どおり使えて、知らない電話だけを減らせる電話機を選ぶことが大切です。
離れて暮らす家族ができる迷惑電話対策
親の固定電話の設定を一緒に確認する
帰省したときなどに、次の設定を確認してみましょう。
- 留守番電話が常時ONになっているか
- 番号表示が利用できるか
- 非通知拒否を設定できるか
- 家族の電話番号が登録されているか
- 迷惑電話拒否機能が有効になっているか
- 国際電話を利用する必要があるか
「電話でお金の話が出たら切る」をルールにする
詐欺の手口をすべて覚えるのは簡単ではありません。
そこで家族で、
「電話でお金・カード・口座の話が出たら、一度電話を切って家族へ連絡する」
というシンプルなルールを決めておきましょう。
電話機の横に家族の番号を貼る
不審な電話を受けた直後は、慌てている可能性があります。
電話機の近くに、
- 息子・娘など家族の電話番号
- 警察相談専用電話 #9110
- 消費者ホットライン 188
を大きな文字で貼っておくと、すぐ相談できます。
親を責めない
もし親が詐欺電話に出てしまっても、「なぜ出たの」「前にも言ったでしょう」と責めないことが大切です。
責められると、次に不審な電話が来たときに家族へ相談しなくなる可能性があります。
「怪しい電話があったら教えて」と普段から伝え、相談しやすい関係をつくりましょう。
固定電話をやめるという選択肢もある
固定電話をほとんど使っておらず、家族や友人との連絡が携帯電話中心になっている家庭では、固定電話そのものが必要か検討してもよいでしょう。
ただし、
- 長年固定電話を使っている
- 親が携帯電話を使いこなせない
- 病院や知人との連絡に利用している
- 各種契約の連絡先として登録している
場合もあるため、単純に解約すればよいとは限りません。
固定電話を残す場合は、留守番電話や防犯機能を活用して「知らない相手とは話さない電話」に変えていく方法があります。
高齢者の迷惑電話対策チェックリスト
- 固定電話を常時留守番電話にしている
- 電話番号表示サービスを利用している
- 知らない番号には出ない
- 非通知電話を拒否している
- 家族や知人の番号を登録している
- 防犯機能付き電話を検討している
- 海外と通話しないなら国際電話の利用休止を検討している
- 「+」から始まる知らない番号へ折り返さない
- 電話でお金の話が出たら一度切る
- 不審な電話は家族または#9110へ相談する
よくある質問
在宅中でも留守番電話にした方がよいですか?
特殊詐欺対策では有効な方法です。電話が鳴ってもすぐに出ず、相手の名前や用件を確認してから必要な電話だけ対応することで、知らない相手と直接話す機会を減らせます。
「+81」から始まる電話も海外からですか?
+81は日本の国番号です。ただし、番号表示だけで相手が安全だと判断することはできません。知らない番号なら慎重に対応してください。
警察署の電話番号が表示されたら本物ですか?
番号表示だけで本物と判断しないでください。実在する警察署などの電話番号を偽装して表示させる手口も確認されています。不審に感じたら一度電話を切り、自分で公式の電話番号を調べて確認しましょう。
国際電話を固定電話で使わない場合、着信を止められますか?
対象となる固定電話などでは、国際電話不取扱受付センターへの申し込みにより、国際電話の発着信を無償で休止できる制度があります。利用条件や対象回線を確認して申し込みましょう。
防犯電話は普通の固定電話と何が違いますか?
防犯機能付き電話には、通話前の警告メッセージ、自動通話録音、非通知拒否、未登録番号への注意喚起など、特殊詐欺や迷惑電話への対策機能が搭載されています。
高齢の親が電話機の設定を変更できません
本人だけに設定を任せず、家族が帰省時などに設定する方法があります。自治体や警察によっては、防犯電話や国際電話利用休止などについて相談・支援を行っている場合もあります。
まとめ|迷惑電話対策は「電話に出てから」ではなく「出る前」に
高齢者の特殊詐欺対策では、詐欺の言葉をすべて覚えて見抜こうとするより、犯人と話さない環境をつくることが重要です。
まずは次の3つから始めましょう。
- 固定電話を留守番電話にする
- 知らない番号・非通知・不要な国際電話をできるだけ受けない
- お金の話が出たら電話を切って家族へ相談する
さらに、番号表示、非通知拒否、防犯機能付き電話、国際電話の利用休止などを組み合わせれば、特殊詐欺の犯人と接触する機会そのものを減らせます。
「親が詐欺電話を見抜けるか」だけに頼るのではなく、詐欺電話につながりにくい固定電話にするという考え方で対策していきましょう。
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参考情報
ご利用にあたって
本記事は2026年8月時点で確認できた警察庁などの公的情報をもとに作成しています。電話サービスの対象条件、料金、申し込み方法、防犯機能などは変更されることがあります。利用前に電話会社・自治体などの公式情報をご確認ください。不審な電話を受けた場合は警察相談専用電話#9110、現在進行中の犯罪や身の危険がある場合は110番へ連絡してください。



