高齢の親が一人暮らしをしていると、「突然来た業者を家に入れてしまわないか」「無料点検と言われて高額な工事を契約しないか」と心配になることがあります。
訪問販売や点検商法では、「近所で工事をしている」「無料で点検する」「このままでは危険」「今日契約すれば安くなる」などと、不安や焦りを感じさせて契約を迫るケースがあります。屋根や給湯器だけでなく、分電盤、太陽光発電設備、排水管など、生活に欠かせない設備をきっかけにした相談も寄せられています。
大切なのは、突然の訪問を受けてもその場で家に入れない・点検させない・契約しないことです。もし契約してしまった場合でも、訪問販売に該当すれば、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内はクーリング・オフできる場合があります。
この記事では、2026年8月時点の消費者庁・国民生活センターなどの公的情報をもとに、高齢者が注意したい訪問販売・点検商法の代表的な手口、断り方、契約してしまった場合の対応、離れて暮らす家族ができる対策を分かりやすく解説します。
困ったときの相談先
- 契約・訪問販売・悪質商法の相談:消費者ホットライン 188
- 犯罪や不審者について警察へ相談:警察相談専用電話 #9110
- 犯人が近くにいるなど緊急の場合:110番
高齢者を狙う訪問販売・点検商法とは?
訪問販売とは、事業者が消費者の自宅などを訪問して商品やサービスの契約を勧誘する販売方法です。訪問販売そのものが違法というわけではありませんが、特定商取引法では事業者に氏名や勧誘目的などを明らかにすることを求め、契約を断った消費者への再勧誘などを規制しています。
その中でも注意したいのが「点検商法」です。「無料で点検する」と持ちかけ、点検後に「壊れている」「このままだと危険」と不安をあおり、高額な工事や商品の契約につなげる手口です。
最初のルールは「突然来た業者に点検させない」
点検が必要だと思った場合も、いったん断り、自分で契約先・メーカー・管理会社などへ確認しましょう。
高齢者が注意したい訪問販売・点検商法7つの手口
1.屋根・外壁の点検商法
「近所で工事をしていて屋根が見えた」「瓦がずれている」「このままだと雨漏りする」などと言って訪問し、無料点検を持ちかける手口です。屋根に上がった後、「今すぐ修理しないと危険」と不安をあおり、高額な工事を迫るケースがあります。
対策:その場で点検させず、必要なら普段利用している工務店や別の専門業者へ確認する。
2.給湯器の点検商法
「給湯器の点検時期です」「メーカーから依頼を受けています」などと言って電話や訪問を行い、点検後に交換や修理を勧めるケースがあります。
対策:業者から教えられた番号ではなく、メーカー公式サイトや取扱説明書に記載された連絡先へ確認する。
3.分電盤・電気設備の点検商法
「分電盤の点検に行く」「古いので危険」「漏電する可能性がある」などと勧誘し、交換工事を契約させるトラブルがあります。
対策:契約している電力会社や電気工事店へ、自分で調べた連絡先から確認する。
4.太陽光発電・蓄電池の点検や勧誘
「太陽光パネルの点検が必要」「点検が義務化された」などと言って訪問し、点検や機器交換、蓄電池などを勧めるケースがあります。
対策:「義務化された」という言葉をその場で信じず、契約先やメーカーへ確認する。
5.排水管・水回りの点検や洗浄
「近所を回っている」「無料で排水管を点検する」「今なら格安で洗浄できる」などと訪問し、点検後に高額な洗浄や工事を勧めるケースがあります。
対策:無料や低価格という言葉だけで依頼せず、作業内容・総額・追加料金の条件を確認する。
6.不用品回収・訪問購入をきっかけに貴金属を求められる
「不用品を買い取る」「古着や本はないか」と連絡して訪問し、実際には貴金属やアクセサリーの売却をしつこく求めるケースがあります。訪問購入は通常の訪問販売とは制度が異なりますが、一定の場合にはクーリング・オフがあり、期間内は品物の引き渡しを拒める場合があります。
対策:売る予定のない貴金属を見せない。依頼していない品物の売却を求められても断る。
7.健康用品・生活用品などを強引に勧める訪問販売
健康器具、健康食品、寝具、生活用品などについて、「健康のために必要」「今日だけ特別価格」などと勧め、高額な契約につなげるケースもあります。
対策:「今日は契約しません。必要ならこちらから連絡します」と伝え、その場で判断しない。
こんな言葉が出たら要注意
- 「近所で工事をしているので気になりました」
- 「無料で点検します」
- 「このままだと大変なことになります」
- 「今すぐ交換しないと危険です」
- 「今日契約すれば安くできます」
- 「メーカーから点検を頼まれています」
- 「点検が義務化されました」
- 「近所の皆さんも契約しています」
「不安をあおる」「急がせる」「第三者へ相談する時間を与えない」という状況になったら、一度話を止めましょう。
突然の訪問を受けたときの正しい対応
1.玄関を開けずインターホン越しに対応する
知らない訪問者の場合は、玄関を開けず、インターホンやドア越しに対応します。
2.会社名・氏名・訪問目的を確認する
「どちらの会社ですか」「何のための訪問ですか」と確認します。
3.頼んでいない点検は断る
断り方の例
- 「点検はお願いしていません」
- 「家族に確認しないと契約できません」
- 「必要な場合はこちらから連絡します」
- 「今日は契約しません」
- 「お帰りください」
4.その場で契約・支払いをしない
「今日だけ」「今すぐ」などと言われても、その場で契約する必要はありません。見積書や資料だけ受け取り、家族や別の事業者へ相談してください。
5.帰ってくれない場合は警察へ相談する
断っても帰らない、威圧的な態度を取る、無理に家へ入ろうとするなど、不安や危険を感じた場合は警察へ相談してください。緊急性がある場合は110番、緊急ではない警察相談は#9110です。
契約してしまったら?訪問販売のクーリング・オフ
訪問販売に該当する場合、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、原則として書面または電磁的記録によってクーリング・オフできる制度があります。
メールで通知した場合は送信メールを保存し、ウェブフォームを利用した場合は画面のスクリーンショットを残すなど、通知した証拠を保存しておきましょう。
8日を過ぎていても、すぐに諦めないでください
事業者がクーリング・オフについて事実と異なる説明をしたり、威迫してクーリング・オフを妨げたりした場合など、期間を過ぎてもクーリング・オフできることがあります。契約書や状況によって判断が異なるため、消費者ホットライン188へ相談してください。
すべての契約がクーリング・オフの対象になるわけではありません。対象か分からない場合も自己判断せず188へ相談しましょう。
契約してしまったとき家族がやること
- 契約書・見積書・名刺・領収書などを集める
- 契約日と書面を受け取った日を確認する
- まだ工事前なら工事停止を相談する
- 現金・カード・ローンなど支払い状況を確認する
- 親を責めず、被害拡大防止を優先する
離れて暮らす家族ができる訪問販売対策
最も分かりやすいのは、「知らない業者とは、その場で契約しない」という家族ルールです。
- 訪問販売は玄関を開けない
- 無料点検を受けない
- その場で契約しない
- 契約前に家族へ電話する
- 困ったら188へ相談する
カメラ付きテレビドアホンがあれば、ドアを開けずに相手を確認できます。録画機能付きなら、不在時の訪問者確認にも役立ちます。
訪問販売トラブル防止チェックリスト
- 知らない訪問者には玄関を開けない
- 会社名・氏名・訪問目的を確認する
- 頼んでいない無料点検を受けない
- 「今すぐ危険」と言われてもその場で契約しない
- 家族へ相談してから契約する
- 別の業者にも見積もりを依頼する
- 契約書や見積書を必ず保管する
- クレジットカードや通帳をその場で渡さない
- 不用品買取で予定していない貴金属を見せない
- 困ったら消費者ホットライン188へ相談する
よくある質問
「無料点検だけ」と言われた場合も断った方がよいですか?
頼んでいない業者の突然の訪問であれば、安易に点検を受けない方が安全です。点検が必要だと思った場合は、普段利用している事業者やメーカーなどへ自分から連絡してください。
訪問販売を一度断ったのに、また勧誘されました
特定商取引法では、訪問販売で契約を締結しない意思を示した消費者に対して、その契約について勧誘を続けたり、後から再び勧誘したりする行為が禁止されています。困った場合は188へ相談してください。
クーリング・オフは電話だけでもできますか?
訪問販売のクーリング・オフは、書面または電磁的記録で行います。メールや事業者のウェブフォームなどを使える場合があります。証拠が残るよう保存し、不安な場合は188へ相談してください。
工事が始まってしまったらクーリング・オフできませんか?
工事が始まっているという理由だけで、直ちにクーリング・オフできないとは限りません。契約形態や状況によって異なるため、自己判断せず消費生活センターへ相談してください。
まとめ|「点検させない・契約しない・家族に相談」
高齢者を狙う訪問販売・点検商法では、屋根、給湯器、分電盤、太陽光設備、排水管など、生活に必要な設備への不安を利用して契約を迫るケースがあります。
- 頼んでいない業者を家へ入れない
- その場で点検・契約・支払いをしない
- 契約前に必ず家族へ相談する
もし契約してしまっても、訪問販売に該当する場合はクーリング・オフできる可能性があります。「もう契約したから仕方ない」と諦めず、契約書を用意して消費者ホットライン188へ早めに相談してください。
参考情報
- 消費者庁|特定商取引法ガイド「訪問販売」
- 国民生活センター|訪問販売によるリフォーム工事・点検商法
- 国民生活センター|排水管の点検や洗浄の勧誘にご注意!
- 国民生活センター|訪問購入
- 国民生活センター|クーリング・オフ
- 消費者庁|消費者ホットライン188
ご利用にあたって
本記事は2026年8月時点で確認できた消費者庁・国民生活センターなどの公的情報をもとに作成しています。クーリング・オフの可否や契約解除の方法は契約内容・勧誘方法などによって異なります。具体的なトラブルは消費者ホットライン188などの専門窓口へご相談ください。




